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That's サイケデリック!

The Apples in stereo 「Energy」

今回のアメリカツアーで出会ったもう一人の奇人、
アップルズインステレオのロバート・シュナイダー。

彼は、僕が音楽を好きになるきっかけとなった人のひとり。
僕は予備校時代にアップルズインステレオと出会い、ぞっこんになり、
現在に至る。

つーか現在に至ってなんて、なんと彼の家に泊まることに!
10年前なら、こんなことが起こるなんて、考えてもみなかったな。

ロバート・シュナイダーとは、2年前のアセンズポップフェスで一度対面済み。
ロバート本人に会って、生で歌声を聞けて、しかも軽く話しただけでも信じられなかったのに、今回はロバートの家に泊まるなんて。
何だか不思議なもんだ。

今回僕らとツアーを共にしたキャスパー&ザ クッキーズが、以前アップルズインステレオと約50箇所のツアーを周り、ロバートとは親交が深い模様。その恩恵もあり。
キャスパーにも感謝。


ケンタッキー州リッチモンド。
僕らが到着すると、彼はわざわざ家から出て来て僕らを出迎えてくれた。

「ヘ~イGuys、よく来たねえ!あそこにあるのは僕の家、空に見えるのは月だよ!」

と、イカした紹介をしてくれたロバート。
この一節がとても気に入った僕。
まるで、「月も君たちを歓迎しているよ!」風。

彼は話し出したら止まらない。マシンガンのようにしゃべりまくる。
僕らが部屋に置いてあったキーボードを眺めていると、

「そう、これさあ、超クールなんだよ!これをこうやってさあ、そしたらこうなって、こうなるんだよ!!な、サイケデリックだろ!」
ダダダダダダ、とマシンガントークが始まる。
「よし、そんじゃネットでチェックだ!カモンこっち!」
僕らはなすがままロバートに導かれ、パソコンが置いてる部屋に移動する。

「ヘイほらこれ見ろよ!クールだろ、ザッツグレイト!!」
ロバートはネットでそのキーボードの詳細を、また、そのキーボードを実際に演奏してる人の動画を手早く検索する。そして皆一同で視聴。
「ほら見た聞いた?どう?すごくないこれ!?なんてクールなんだ!!」

そして、いつの間にか他のキーボード話へ。
20世紀のクラッシック作曲家が編み出した変則音階や、そのキーボードをネット上で検索するロバート。そして皆一同で視聴。
「ほら!どう?すごくないこれ!?なっ、サイケデリックだろ!」

あまりのマシンガンっぷりに僕はついていけず、途中で英語を聞き取ることも諦め、
彼のその興奮している姿を見て楽しんだ。

キーボード話以外にも、ムーグのDVD、冷蔵庫の中身やテレビゲームの種類、飼っている猫、バスルームやタバコを吸う場所に至るまで、マシンガン紹介。

そしてもちろん、「ElekibassのオルマナックのPV見たよ!」話もマシンガンで嬉しそうに話してくれた。
おお~、見てくれてたんだ、嬉しいな。

彼の本棚には、音楽やアートの本以外に、数学や科学の本がたくさん並んでいた。ちなみに翌朝の彼のパジャマは、「MATH & SCIENCE」と書かれているTシャツ。聞くと、数学家系らしい。彼も数学がとても好き、とのこと。意外なんだか、なんとなく納得、な彼の一面。

翌日、ロバートは僕らを街の楽器屋へ連れてってくれた。
楽器屋にあった機材を品定めするロバート。彼がどうなるかは、もう言うに及ばない。
見てて楽しい。
僕も、超安いイコライザーを購入。

ロバート:「Oh~なんてこった!それがそんなに安かったのか!?
きっとラウドな音が出るぜ!!」

ちなみにロバート、ラウドな音を出したいときは、レベルをMAXに上げるそう。
うん、分かりやすい。
そんな彼のお気に入りは、ビッグマフ。

どこに行くにも、常にノートを片手に持ち歩くロバート。
ライブを見ているときにも、いきなりノートをバッと広げ、何かをメモったりしてた。
何を思いついたんだろう?

僕らのライブも最前列で楽しそうに見てくれた。
あのロバート・シュナイダーが、いちばん前で僕らを見てるってなんだか不思議な光景だったな。

帰宅し、買って来てくれたピザをみんなで食べる。うまい。
アメリカのピザに外れなし。

こんなかんじでロバートと過ごした二日間。僕がやけに耳についたのは、
彼の「な、サイケデリックだろ!」ってフレーズ。
キーボードで音を出したときやDVDを見てるとき、音楽以外のときまでも。
何か、「おおっ!何だこれは!」ってことが起こると、彼は「サイケデリック!」と表現する。
トリップとかへヴィーとかそういう意味じゃなく、何かの「魔法」が起きたときのニュアンス。
そんな「サイケデリック」が起こる瞬間をとても純粋に楽しんでいて、それを日々追求しているロバート。
そんな彼が作る音楽は、やっぱりとても魅力的。

彼のことをずっと好きでよかったな、と思った二日間でした。
キャスパー&ザ クッキーズのジェイソンもそうだったな。
合言葉は、「サイケデリック」。

この人は、やっぱ面白い。

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