夢で逢えたら・・・
これはこの前見た夢の話。
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僕は実家でばあちゃんの写真をボーッと眺めている。
白髪を後で束ね、黒ブチ眼鏡で和服姿。
ばあちゃんは約20年前に亡くなっていて、僕は話したことも覚えていない。
正直言うと、生きていた頃のばあちゃんを僕は覚えていない。
たぶん僕が親戚オンリーで「神童」と呼ばれる以前、まあ要するにまだ物心がついていないとき、
ばあちゃんはすでに亡くなっていた。僕の中ではかなり印象が薄いばあちゃん。
そんなばあちゃんの写真を僕はボーッと眺めている。
すると突然、周りが揺れだした!ガタガタガタッ!地震が起きたのか?
僕の胸は急にドキドキとする。手で胸を抑えるほど、心臓が鼓動する。
驚いた僕は辺りを見渡す。壁、天井がギシギシときしんでいる。ばあちゃんの写真にも目をやる。
そしたら!ばあちゃんが写真の中から出てきた!
僕は揺れに耐えようと、必死に手で床を押さえ、半かがみになっている状態。
その傍らにばあちゃんが立っている。ばあちゃんは僕を見下ろしている。
灰色の着物の上に黒の羽織。肌も灰色。
白黒写真だったから?写真そのままの色姿。
何がなんだか分からない僕は、ばあちゃんを見上げている。
するとばあちゃんは、天井に向かってフワ~っと宙に浮いていく。
それにつられてか、僕も宙に浮いていく・・・
そして、ばあちゃんと僕は言葉を交わす。
ばあちゃん:「・・・・・。」
僕:「・・・。」
そしてまた!ガタガタガタガタッ!周りが揺れだす。
僕の胸の中も揺れだす。手で胸を必死に抑える。
そしてハッと目が覚めた。
夢なのにすげえリアル。こんな夢は初めて見た。全然覚えてないばあちゃんが突然出てくるなんて。
霊感ゼロな僕なのに、よくテレビでやってるような心霊体験をしたようなかんじ。
この夢は僕の中でインパクト大な夢ベスト3に入る。
マイケル・ジャクソンと握手した夢もいまだに忘れない。
たしか白い手袋してたな。
ある意味貴重な夢。夢だけどなんだか得した気分。
死んだばあちゃんがリアルに夢に出てくるのは吉か凶か?
正直どっちでもいいところもあるが、僕の家族の身に何かおきていないか?
僕と同じ夢を家族の誰かが見ていないか?
壁に飾ってあったばあちゃんの写真が落ちている!とか。
そんな想像が膨らみ、あとちょっと何か心配ごころもあり、ウチの母にメールしたところ、
「それじゃあ今度はじいちゃんの夢でも見てね」
とウチの母Said。
何もなかった模様。正直あんな夢は二度と見たくない。
いい気分じゃなかったしね。「次回じいちゃん編」はかんべん。
百歩譲って夢に出てくるのはいいけど、登場の仕方は考えてくれ。
写真の中からガタガタと揺れて出てくるのはちょっと怖い。
どうせなら、市川準に演出してもらって風が吹くように静かに、粋に出て来てほしい。
登場の音楽は久石譲がクラシカルに作曲し、坂本龍一かグレン・グールドにピアノを弾いてもらう。
背景はアニメーションをつけてもらい、じいちゃんだけじゃ寂しいので他にキャラクターを。
宮崎駿あたりにお願いしたい。適当に短い脚本もついでに頼もう。
森の中から飛び出し、さっそうと空を飛んで登場する勇敢そうなじいちゃん。
それなら僕も落ち着いてじいちゃんを迎えられる。かもね。
まあそれは夢のような話。
ばあちゃん:「ビリー・ニコルズって人知ってる?よかったら今度聞いてみなさい。」
僕:「ありがとう。夢から覚めたら聞いてみるよ。」
そして、首から飛行石を下げたじいちゃんが空から爽やかに登場。
その手には、ビリー・ニコルズの「Would you believe」 が!
僕はそのアルバムを受け取る。ジャケットを眺める。
空飛ぶじいちゃんは用意周到。とても気が利く。
「ここに来る前に森に寄って、オウムの殻を取ってきたんだよ。あの森は危ないな。お前マスクは忘れるなよ。ワシはもう免疫が出来とるから大丈夫だけど。そんで友達のユパってやつに頼んで、特製オウムレコード針を作ってもらった!これを使えば、さぞかしいい気分でビリー・ニコルズが聞けるはずじゃよ。これでスティーブ・マリオットのギターも冴えわたるさ!なあ、ばあさん。」
「ええ、そうですとも。ニッキー・ホプキンスのハープシコードまでも冴えわたりますよ。しかしこの人はいい曲作りましたねえ。最初聞いたときはそうでも無かったんですけど、最近久々に聞いたらとてもよかったんですよ。ポップな楽曲、ソフトにロック。いわゆるソフトロックってやつ?ねえ、おじいさん、ウチに帰ってもう一度聞きませんか?」
「そうだな。ワシはB面の4曲目が聞きたいな。ギターがカッコイイんじゃよ!そんじゃばあさん、帰ったらお茶を入れてくれ。」
「私はA面3曲目が聞きたいですね。だってコーラスが気持ちいいんですもの。トランペットもいいかんじですし!帰ってお茶を入れましょう。」
帰りは自転車で二人乗り。風になびきながら、坂道を下りて行く・・・・
って夢だったらよかったのに!