ワイキキと雨のお花見コンサート20240330
■上野恩賜公園野外ステージ「ワイキキと雨のお花見コンサート」
なんて楽しい日だったんだろう。この日はとても長い一日で、そして、この日が来るまでとても長かった。素晴らしく素敵な人達と共演することが出来て、大切な人達や会いたかった人達が見に来てくれて、そしていいライブが出来たこれ以上ない日。イベントが終わって5日経つが、ギターを触る気がしない。あの日からの余韻はとても長く続く。今これを書いている部屋のBGMは、渚十吾さんバンドのベーシスト、コズミさんが送ってくれた渚さんバンドのライブフルサイズ動画。時折、鳥が鳴いている音が聴こえてくる。オラノアさんの日記にこの日は「鳥と歌う」とあったのを思い出した。夢見る港の長坂くんと「まるでヘロンみたいだね」と楽屋で話したのも印象的。2024年のハイライトになるだろうこの一日の回顧録をここに。
当日は快晴。晴れ渡る空。とても気持ちがいい天気。気温は25℃以上の初夏のような気温になるという予報。しかし桜の開花は例年より遅れるそうで、この日は桜が咲き始めた日になった。朝10時、上野恩賜公園野外ステージに入ると、イベントスタッフの方が座席の水拭きをしている。全ての座席をたった二人で。とても大変な仕事。音響スタッフの方達は機材のセッティング、音響のチェック中。BAR雨のテントでも営業準備中。長い一日になる予感がした。おはようございますと挨拶しに行く。リハーサルまでの約1時間は、共演者の方たちとゆっくり話すわけでもなく、楽屋でリラックスするわけでもなく、どこか落ち着かない気持ちであっちこっちをウロウロする。いつものライブと違う気持ちなのは、あがたさん、渚さん、ジュリアンのライブに参加するからなのか。不安と楽しみ、楽しみと不安。両方の気持ちが行ったり来たり。なので、楽しみだったBAR雨のカクテルは、イベントが終わってからにすると決める。長い一日が始まった予感。
本番前、渚十吾さんバンドでリハーサル。開放感あふれるステージ上。青い空。空気はとても気持ちよくて、リラックスした気分でサウンドチェックする。屋外ならではのリバーブが効いて、もうとても気持ちいい(まだ飲んでいない)。いいライブが出来そうな予感。くろよこさんが桜の花びらが押してあるマドレーヌを楽屋に差し入れてくれる。心地よい塩加減で美味しい。皆の手が伸びて、一つ一つ、
マドレーヌは少なくなっていく。本番前に法橋ハジメさんと客席で話す。BAR雨に行くようになったのは、樋口三四郎くんがきっかけだったとのこと。法橋さんと会ったのはこの日が初めて。初対面なのに前から知ってるような感じで話せたのは彼の人柄なのか。雨でも一緒に飲んでみたい。
イベントは夢見る港で幕開け。BAR雨の手伝いも兼ねて見に来てくれた、樋口三四郎くんと一緒に客席に座って夢見る港のライブを見る。鳥が鳴いている音がライブ中に聴こえてくる。もしや夢見る港、鳥の鳴き声を流す演出をしているのか?と思わせるほど。とてもいいタイミングで聞こえてくる鳥の鳴き声。やってる方も気持ち良さそうだが観てる方も気持ちがいい、とても素敵なライブ。夢見る港は春がとても似合う気がする/The Ladybug Transistorを思わせるような気がするバンド(個人の意見)。キーボードで特別参加のみんみんさんが加わった8人編成+鳥の鳴き声ライブは、広いステージにぴったりの春爛漫なサイケフォーキーポップ。晴れでも曇りでも雨でもいい感じな表現力豊かな空模様のようなバンド。と思ったのは、この屋外ステージのせいでもあるのだろうか。
法橋ハジメさんのライブはステージ横の楽屋から見る。ライブ前、楽屋で一人ぽつんと座っていた彼を何度か見かけた。アコースティックギターに身を委ねるように、体をかがめ、弦をかき鳴らして歌うあの姿、歌声、歌。黒いブーツにスキニーな黒いパンツ。楽屋から見る法橋さんの歌う姿は、一人の力強さを感じるライブだった。フォークシンガーの迫力を感じさせるカッコいい横姿。
渚十吾 with Watermelon Sugar。このバンド名の元となったのは、リチャード・ブローティガンという作家の「西瓜糖の日々」という小説。渚さんが貸してくれたので、ライブの前日に読んだ。「わたしの名前」というページに付箋が貼ってあるので、そのページを開く。
「わたしの名前」
「わたしが誰か、あなたは知りたいと思っていることだろう。わたしはきまった名前を持たない人間のひとりだ。あなたがわたしの名前を決める。あなたの心に浮かぶこと、それがわたしの名前なのだ。」
iDEATH(アイデス)という世界で暮らす人たちの物語。iDEATHって、とてもインパクトがある言葉に思えた。渚さんはこの物語の話をリハーサル中によく話してくれた(本番のMCでも)。リハーサル初日は渚さん宅で。ベースのコズミックさんと3人。渚さんは今回のバンドイメージとして、参考とするバンドのレコードを数枚用意していてくれた。まずはそれを部屋で3人でワインを飲みながら聴いた。そのバンドはとても静寂感が溢れていて、ギターのアルペジオが心に残る。淡々としたリズムを刻む味わい深いベース。2000年前後にリリースされたバンドのアルバムとのこと。渚さんからこういうバンドが出てくるのは良い意味でとても意外。レコードを聴きながら、3人でギター/ベースを手に、今回やる予定の曲を、渚さんが事前に用意してくれたコード譜&歌詞を見ながら弾いて、合わせてみる。僕らとは別日に、ハリーさん、さっちん、オラノアさん達も、渚さんの部屋でこういうリハーサルがあったとのこと。リハーサルが終わった後は、くろよこさんの素晴らしい手料理。お酒と音楽。みんなでテーブルを囲んで食事とお酒と音楽を楽しむ幸せなひととき。
初回のスタジオリハーサルに入ったのは3/11で、リハの後に渚さんが連れて行ってくれたのは、下北沢にある教会の敷地に咲いていた桜の木。こんなに早く咲く桜があるなんてと、皆で驚いた。渚十吾 with Watermelon Sugarのメンバーと過ごした時間は、何かの物語の中にいるような時間だった。非現実的な。それは渚十吾さん自体が物語の中に出てくるような人だからだろうか。あの鳥の鳴き声は、ライブ本番中もよく聞こえてきた。曲が終わったあと空を見上げている渚さんの姿が心に残る。鳥と歌う。バーズの歌。空模様を楽しむ。かけがえのない素敵なひととき。
渚さんはTHE MUSIC TAPESの私物レコードを持参していて、楽屋でジュリアンに見せていたシーンがあった。ジュリアンも渚さんも、とても喜んでいた。
ナカヒラミキヒトさんのライブを見るため客席へ移動。渚バンドの面々も一緒に客席へ移動。今日のイベントを見に来てくれたQuinka,with a Yawnのミッコさんが駆け寄ってくれる。 The Broken TVのタイスケさん、うちださんにも会う。来てくれたのはとても嬉しい。タイスケさんは、渚さんの「(Put your Tea)Watermelon Sugar」が良かったと感想を言ってくれて嬉しい。
ナカヒラミキヒトさんとは森田くんの送別会@渋谷7thFLOOR以来。トム・ウェイツだ。カッコいい。ナカムラさんがライブで歌ったとある曲で、Quinkaミッコさんが「もしかして深夜食堂の曲?!」と、かなり大きくリアクションする。僕はそのドラマもその曲も全く知らなかったので(なのでここで詳細を書くのを控えるが)、打ち上げでナカムラさんにそれとなく聞いてみたらやはりその曲だということで、オリジナルはアイルランドの民謡で、それに日本語歌詞をつけて歌った方が深夜食堂の曲を歌った方。ナカムラさんはその曲を「歌い継いでる」という話をしてくれた。雨の芝田さんと一緒にその話を聞いた。ミッコさんにこの話を伝える機会があるなら伝えたい。
田所せいじwithからすぐち。1stアルバム「アルバム」の再現ライブ。せいちゃんがこのイベントに寄せて書いたコメント、「23周年の『アルバム』へ寄せて」。僕はこのコメントを読んだとき、もしかしてこの人のことを言ってるのかな?と思い浮かぶ人がいた。そんな話を、打ち上げで吉井さんに話したら、「もしかしたら、せいちゃんのあのコメントを読んだ人それぞれが、それぞれに思い浮かぶ人がいるのかもね」と話してくれた。なるほど、そうかもしれないですねと僕は返した。ひじきさんとは、3/9の唄処せいじの話をして、あの日僕らはかなり飲んだ状態でライブをしたこと、そんな僕らのライブを見ているひじきさんの厳しく険しい顔が忘れられない(と、本人には言ってないが)、そんな話をした。田所せいじwithからすぐちの屋外ステージ、とてもいい。掃き掃除の音やコーラスワーク、その他いろんな音。「アルバム」、かなりシンプルなアルバムだけど、こんなに色々いろんな音が入っているのかと驚き。からすぐち、なんて芸が細かいんだろう。愛だろうか。
この記事はやはり部屋で「アルバム」を聴きながら飲みながら書いている。ライブで「ことりちゃん」のとき、せいちゃんは「知ってる人は一緒に唄ってください」と言っていた。僕は一緒に唄ってみた。僕の後ろにいたミッコさんも、一緒に唄っていた。とても穏やかでピースフルな午後の昼下がり。名盤。でも本人は2ndの方が好きだと言っていた(ような気がするけどもう覚えていない)。なんかとてもいい写真。
Orbiting Human Circus featuring THE MUSIC TAPESのライブに参加した!ジュリアンと一緒のステージに立っているなんて!その前に、ジュリアンと一緒に都内(北区)のリハーサルスタジオに入るなんて!さらにその前に、ジュリアンがフラっと家に遊びに来るなんて!さらにさらに、ジュリアンと下北で飲んだり食べたりライブを見たり、この日本で一緒に過ごす時間があるなんて!というかそもそも、Neutral Milk HotelやThe Olivia Tremor ControlのメンバーでElephant 6に欠かせないミュージシャン、ジュリアン・コスターと出会うことができるなんて。人生ってほんとどんなことが起きるか分からない。「オービティング・ヒューマン・サーカス」ってどういう意味なんだろう?翻訳サイトで調べてみたが、それはピンとくる結果ではなかった。「人生は、人生を、グルグル周るサーカスのよう」と、自分なりの解釈に落とし込む。そして、オービティング・ヒューマン・サーカスに欠かせないトロンボーン/トランペット奏者(熊)のロビー(Robbie Cucchiaro/ロビー・クキアロ)のラストネームを翻訳サイトで調べたら、イタリア語で「テーブルスプーン」と出た。彼は爪の先から足元まで、とても魅力的なミュージシャン/ヒューマン。あの北極熊になるにはとてもタフな時間があるにも関わらず(Spiro中嶋くんの多大なる丁寧で優しいHELPがある)、ちゃんと出番に間に合うのか?大丈夫なのか?とハラハラして見ていたが、北極熊の出番の少し前には必ずステージ脇にスタンバイしていて、出番前にはオービティング・ヒューマン・サーカスの世界に入るための精神統一、気持ちの準備、集中時間のような時間も作っていて、ロビーのパフォーマーとしてのプロフェッショナルさを目の当たりにしたようだった。ロビーは打ち上げで、自分が帰宅する際にトロンボーン(トランペットだったかな?)を吹きながら店を出て行った。店員さん達はそのロビーの姿を見てとても喜んでいた。去り際までもエンターテイナー。この記事を書きながら、ダニエル・ジョンストンの「Sorry Entertainer」という曲をふと思い出した。「ごめん、私はエンターテイナーです」という曲。
Sorry Entertainer/Daniel Johnston YouTube
ジュリアンとロビーはエンターテイナー。
オービティング・ヒューマン・サーカスの曲をバンドで演奏するなんて、Elekibassのみんなは一体どうやるんだろう?生バンドで再現できるのか?あの世界観を?僕はリハーサルまで不安でドキドキだったが、いざ合わすと、ちゃんと形になっていた。Elekibassってバンドすごいなと、そう思ったあのリハーサルの日。
僕は、僕らは、こんな素敵な人と、こんな素敵な人達と、一緒な時間を過ごしたのか、過ごすことが出来たのか。そんなロング・インタビュー。「人生に起きる素敵な瞬間って往々にしてそういうケミストリーから生まれてくるものだったりしない?」※引用
「誰もが力を貸し合う、それが《Elephant 6》の美しさだった」 ニュートラル・ミルク・ホテルやオリヴィア・トレマー・コントロールでの来日経験もあるジュリアン・コスターが語るあの頃の風景と現在
【Orbiting Human Circus JAPAN TOUR 2024】
-featuring THE MUSIC TAPES with JULIAN KOSTER (Elephant 6, Neutral Milk Hotel), and ROBBIE CUCCHIARO (Nana Grizol) –
福岡公演 2024.04.06(土)
京都公演 2024.04.07(日)
京都追加公演 2024.04.08(月)【Nijinsky Congratulations(ニジンスキー・コングラチュレーション)】 あがた森魚&Orbiting Human Circus「舞踏家ニジンスキーに捧げてスペシャルライヴ」at 京都・八文字屋
東京公演 2024.04.13(土)
あがた森魚さんとElekibassでリハーサルに入った(その後にOrbiting Human Circusのリハーサルもする)。あがたさんのリハーサルが終わったあと、ジュリアンとSpiroチームも合流し、あがたさん主催の「タルホピクニック」・王子・飛鳥山周遊「ギターを背負って歩く練習 第46回」に参加した。各々が持参してきた楽器を鳴らしながら歩くピクニック。あがたさんが鳴らすアコースティックギターに合わせて、各々が持参してきた楽器を思い思いにひたすら弾き鳴らし、飛鳥山公園~音無親水公園~王寺駅周辺を約2時間、ひたすら練り歩くというピクニック。この日はとてもいい天気の日曜日で、飛鳥山公園はたくさんの人で賑わっていた。そんな中、約30人の楽器を弾きながら練り歩いている集団はかなり異様で、不思議な音楽隊またはカルトな伝道師、または映画の撮影隊のようにも思えた。公園にいる人達はこの変な音楽集団を見て笑顔になっている人がいたり、音楽に合わせて手を叩く人がいたり。練り歩きに付いてくる子供たち、楽器を自分にも弾かせてほしいと可愛くねだってくる子供たちもいれば、迷惑そうに怪訝な顔をする人達もいたり。パレードってこんな感じなんだろうか?僕は鈴を鳴らしてカズーを吹きながら参加した。コロナ禍がきっかけで始まったピクニックとのことで、現在は月一回のペースで実施されているそう。ピクニック中のあがたさんの笑顔はとても優しくて、練り歩きについてくる子供たちにはとても優しい笑顔を返していた。練り歩き中に面白い演奏をしている参加者には「面白いことしてるね」と即座に反応している。僕はこのピクニックをあがたさんが意図するように心から楽しめた自信はないかもしれないが、ピクニックの打ち上げであがたさんが語っていたタルホピクニックに対する想いや、音楽と映画に対する想いについての話とか、打ち上げであがたさんの方からわざわざ僕の隣の席に移動してきてくれたあの感じとか、「あがた森魚って人は一体なんなんだ!?」というのをとても楽しんだ、貴重な1日だった。それはライブ本番でももちろんそう。まったく期待をうらぎらない、ワクワクハラハラドキドキさせる、とても〇〇な方だった。※「〇〇」は、素敵、魅力的、尊敬などなど。一言では困難。本番のライブで「春の嵐の夜の手品師」のとき、僕はビートルズの「Hello, Goodbye」のドレミファソラシド~を、曲の間奏部分で勇気を出して勝手にこっそり弾いた。あがたさんには(おそらく)バレていないと思う。あがたさんとのライブはハラハラドキドキ、ワクワクしっぱなしの時間は最高でした。光栄でした。
あがた森魚 morio agata・official site
そして最後はElekibassのライブ、イベントはタイムテーブル通りに進んでいたのでしょうか?アンコールまでやらせてもらいました。アンコール曲の「Que sera sera」、とても良かったんじゃないかと思います。とても気持ちよくやれました。あの屋外ステージで、あの開放感を味わいながらの歌と演奏。日比谷野外音楽堂でやったらこんな感じなんでしょうか(知らないけど)。
この日、僕の立ち位置はいつもより後方で、ステージの真ん中に立っているボーカリストの姿を後ろから眺めることができる位置でした。渚十吾 with Watermelon Sugar、Orbiting Human Circus、あがた森魚バンド、そしてElekibass。各バンドのボーカリストを眺めながらギターを弾いていました。一緒に演奏してるけど、まるで自分も観客になって楽しんでいるような感覚でした。あの広いステージの真ん中でパフォーマンスするボーカリストたちはとても最高でした。見たことのない風景で、新鮮な光景でした。
ベースの高宮くんがこの日は不在で残念でしたが、空中カメラの竜くんがピアノでベースラインをナイスサポート。そして夢見る港のマサキングさんは、あがたさんバンドとOrbiting Human Circusでベースを献身サポート。LSD音響チームのみなさん、zundoko japanのみなさん、カメラマンのこいそさん。Bar雨チームのみなさん。最高な日でした。2024年のPerfect Dayな1日。
※追記
今日はOrbiting Human CircusのJapanツアー最終日。僕はDJで参加。渋谷7thFLOORを15時過ぎに出て、打ち上げは何度か行ってるインドカレー屋さんで。ロビーは来ない。後片付けが大変なのか、またはいつものようにどこかに消えてしまったようだ。みんなでスパイシーなカレーを食べてお酒を飲んで、今日の話、今回のツアーの話、今後の話に花が咲く。ジュリアンはさすがに若干お疲れモード。次のツアーは、ジャズバンド・オーケストラを率いてアメリカを周るツアー。その次はヨーロッパを周るツアー。Orbiting Human Circusは続く。
今日のOrbiting Human Circus、最高でした。催眠術にかけられたのか、Orbiting Human Circusの不思議な物語のハッピーな時間。ここは渋谷。日本では世界では、いろんな出来事やいろんな事件が起きているけれど、今日この日、この場所この時間を一緒に過ごした人達は、とても優しい気持ちになったのではないかと思う、別世界にいるような時間でした。楽しみにしていた今日が終わってしまった。そんな日。良い日。今はその余韻に浸る。この余韻も長く続きそう。5/6は渋谷7thFLOORでライブだ。楽しみです。:D